コミュ障でも、隠キャでも、いくらネガティブ思考の人でも、ときには希望に満ち溢れてポジティブな気持ちでいられるときがあるはずです。
興奮した時、心から楽しめる映画を観たとき、思いきり酔っ払ったとき。
でも次の日、朝起きたらまたいつもの悲観的な自分に戻ってしまっている。
「あぁまた一日が始まる。こうやっていつまでも変わらない自分のままなんだろうか。」
それの繰り返し。
心当たりはありませんか?
あのポジティブな気持ちでいられるときがずっと続けばいいのにな、と思いますよね。
その願いを叶える本『脳を鍛えるには運動しかない』を紹介します!
悩みに対する本書の回答はいたってシンプル。
「毎朝30分の有酸素運動をしよう。そうすれば一日の残りの時間を気分良く過ごすことができる!」
というもの。
本の中では運動が脳と脳が作りだす気分感情にどれだけ影響を与えているかを、最新脳科学の知見と数々の実験データより明らかにしていきます。
コミュ障を治す特効薬は運動だった!『脳を鍛えるには運動しかない』
この本を一言で要約すると、
「最新の研究で運動するといかに脳に良いことが起こるかメカニズムが分かってきた。運動はほとんどのメンタルの問題に効果的な治療薬だった。さあ今からでも運動しよう!」
です。
著者のジョン.J.レイティ氏はハーバード大医学部の臨床精神医学准教授。学生や精神科医を教える立場にある精神医学のエキスパートです。
実は彼には過去に有名な功績があり、94年に『へんてこな贈り物』という本を執筆しているのです。この本は今でこそ有名になったADHD(注意欠陥障害)を世の中に広めた本として知られています。レイティ氏はADHD研究の先駆者でもあるのです。
こうした背景もあり、本書の内容はタイトルにある通り運動が脳に与える影響について記した本ではあるものの、メンタルの問題に対する記述が大部分を占めています。
ストレス、不安、うつ、ADHD、依存症、老化、女性の生理の悩みなど症状を取り上げて改善に効果があると言及されているので、これらに関心がある人は読んでみる価値があります。
たとえば
過度なストレスに晒されアルコールに走り、依存症になってしまった女性がワインを飲む代わりに縄跳びをするように変えたところ、依存症が治りストレスからも改善されたという話。
2006年にオランダでうつに関する1万9288組の双子とその家族を対象にした(遺伝子的な影響を排除するため)斬新な調査で、運動をすると不安が減り、うつにも神経症にもなりにくく、逆に社交性が向上することが明らかになった
など。
このような実験や調査に基づいているため、説明はどれもとても説得力があります。
「運動をすると頭がスッキリして気分が良くなる」ということは何となく分かっていましたが、読んでいて「なるほど!」と思える話の連続でした。
そして読み終える前から、ちょっと近所走ってこよう、という気になって本を置いて外に出ていました(笑)。
それくらい運動に対する意欲を書き立ててくれる本です。
「なんと運動した方がいい」と「運動するとメリットしかないという科学的なデータが出ている」では運動に対するモチベーションがまるで変わりますからね。
ジムをさぼりがちな人や、ランニングを習慣にしようと一念発起したものの三日坊主で終わってしまった人もおすすめです。
「運動をしなきゃ」と継続する理由を与えてくれます。
運動が脳に効く仕組み
ここで運動がメンタルに効く仕組みを一部紹介しましょう。
ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンという神経伝達物質の名前は聞いたことがあるでしょうか?
最近の脳科学ブームで、耳にする機会も増えた化学物質です。
ドーパミンとは幸せや快感を引き起こす化学物質。恋愛の高揚感も、セックスの快感も、ゲームの楽しさも、ギャンブルのドキドキ感も、果ては仕事が上手くいった時の清々しい達成感も、すべてこのドーパミンの作用です。ADHDの治療薬は脳内におけるドーパミンの量を増やす働きがあります。
ノルアドレナリンとは、気分に作用する化学物質。注意や知覚、意欲、覚醒に影響しています。ADHDの治療薬は脳内におけるノルアドレナリンの量を増やす働きがあります。
セロトニンとは、脳の機能を正常に保つ化学物質。気分を安定させ、衝動性や怒り、攻撃性を抑制します。うつ病の治療薬は主に脳内におけるセロトニンの量を上げる働きをするものです。
運動をすると、これらの化学物質の分泌が促されたり、量が調節されたりします。
そうして運動をするとセロトニンの効果で気分が安定し、ドーパミンの効果でハイになり、ノルアドレナリンの効果で感覚が研ぎ澄まされるというわけです。
実際にランニングをするとうつ病の治療薬に使われるプロザックやリタリンを少量服用したような効果があるそうですよ。
先ほど説明した通り、ADHDやうつ病の治療薬はある特定の化学物質に対して作用するもの。
一方で運動は3つすべての化学物質に対して同時に作用するのです。
これだけでも「運動すげぇ」となりますよね!
もちろん脳以外にも体に対する健康効果もありますから、運動を習慣にすることはまさに百害あって一利なし。
めんどくささだけが唯一の壁として立ちはだかりますが、この本を読めばその壁も打ち砕くことができるでしょう。
おわりに
この本を読むと、冗談抜きに運動したい気持ちになります。
自己啓発系の本を読んで「明日から意識を変えよう」という気になったことは数えきれないほどありますが読み終える前から「走らなきゃ」と思わされたのは初めてでした。
おそらく、人間なら誰しも運動することで健康や精神にメリットがあることをなんとなく体感的に知っているからだと思います。
その「なんとなく」を「行動しなきゃ」に変えてくれるのがこの本。
ではどういう運動をすれば良いかというと、やはり有酸素運動がマストらしいのですが、それに筋トレのような無酸素運動を組み合わせるとさらに良いとか、いろいろ書かれています。
ぜひ続きは本を手にとって読んでみてください!
けっこう見た目は分厚い本ですが、ページ数は345ページと意外と普通です。
それに読み始めるとすらすら読み続けられますし、関心がない賞は読み飛ばしてしまっても差し支えありませんよ。
それでは、みなさんの人生が前向きになることを祈って!
See you next time!
『コミュ障で普段は自信がないんだけど、気分がいいときもあるんだよな。あの感覚が続いてくれたらいいのになぁ』