中野信子『脳内麻薬』読書レビュー

こんにちは!kei_tamです!

今回は、『ホンマでっか!?TV』の学者コメンテーターとしてもお馴染みの脳科学者、中野信子さんの著書『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』をレビューします。

脳内麻薬という刺激的なタイトル。この「脳内麻薬」とはズバリ副題にあるドーパミンの事を指しています。

本書の要点を先にお伝えしてしまうと、たとえば麻薬を吸った時に感じる快感と美味しいものを食べた時に感じる満足感は、トリガーが違うだけで実は脳内で同じ作用が働いて「いい気持ち」にさせられているのだということ。

その作用の主役こそが、脳内で生まれる科学物質ドーパミン。
恋愛の高揚感も、セックスの快感も、ゲームの楽しさも、ギャンブルのドキドキ感も、果ては仕事が上手くいった時の清々しい達成感も、すべてこのドーパミンの作用だというのです。

ドーパミンは快感物質とも呼ばれていて、人が楽しい、気持ちいいと感じるのはこのドーパミンが脳内で分泌されるからだといいます。

そこで僕はこう思いました。
「このドーパミンを自在に操ることができたら、常に楽しいと感じられる幸せの人生を作れるんじゃないか?」と。

さて、どうなのでしょうか?
ドーパミンを正しく理解して上手く付き合っていくヒントが、この本を読むと得られます。

中野信子『脳内麻薬』読書レビュー

はじめにこの本の概要です。

第1章 快感の脳内回路

快感は脳内で「作られる」ものです。
その「快感の作りかた」を図などを使って脳科学の見地から解説。

この章は専門的な用語も多く、結構難しいです。
「ドーパミンとは?」という、このあとの話の基礎となる部分なので、一番最初の章に持って来ざるを得なかったのでしょうが、ここでよく分からなくて読むのを辞めてしまう人もいるのでは?と思いました。

ただ最近は脳科学ブームなので、茂木健一郎先生だったりそれこそ『ホンマでっか!?TV』だったり、このドーパミンという言葉は結構メディアでも耳にします。

知っておくとこうした番組もより楽しめるのではないかと思います。知っておいて損はない知識です。

第2章 脳内麻薬と薬物依存

面白かったのが、たとえばタバコに含まれるニコチンに中毒性があるのは誰もが知っていますよね。
でも、ニコチン中毒の原因はニコチンそのものが脳に効くからではないのです。

ニコチンはいわばドーパミンの放出を引き起こすレバー。
すると脳がその時の快感を記憶する、それが依存症と呼ばれる状態なのだそうです。

だから、ニコチン中毒者が一念発起してタバコを絶っても、別の対象に依存してしまう可能性が高い。
なぜなら、脳が欲しいのはニコチンではなくて、ドーパミンが放出されているという「状態」だから。

脳にとってみれば、「タバコを吸いたい」ではなく「もう一度あの体験をしたい」というわけです。

同じように、薬物がもたらす快感、それも薬物それ自体ではなく、ドーパミンがもたらす快感なのだそうです。
そして強い依存性を引き起こす。

第3章 そのほかの依存症

これは過食や拒食、恋愛、ゲーム、セックスといった物質ではなく行為がもたらす依存症について語られます。
もちろん先ほどのタバコや薬物と同じで、これらの依存症の原因もドーパミン。

誰もが共感できるのが、食べる楽しみでしょう。

拒食症や過食症はストレスが原因であるのはよく知られていますが、そういった極端な例でなくても単純に食欲がドーパミンによって左右されるのだそうです。

ドーパミンが足りてないと食べ過ぎ、ドーパミンが増えると食欲がなくなる。

つまり嫌なことがあったりストレスに晒されると、食べ過ぎてしまう。
逆に楽しい時には食欲がなくなる。

盛り上がった飲み会の時って、実際そこまでがっつり食べてないのに不思議とお腹が減らない感覚がありますよね。それもドーパミンの作用なのだそうです。
(お酒を飲んだせいで、夜中に塩分を欲っしてバカ食いしてしまうのはまた別の話です笑)

第4章 社会的報酬

これは人から褒められて嬉しい、認められて嬉しいといった物質でも行為でもない気持ちよさのこと。
友人関係や、知名度の向上などもそう。

もちろんこれらもドーパミンの作用です。

実は脳において、他人に褒められた時に反応する部位と、お金を与えられた時に反応する部位は同じなのだそう。

つまり脳科学的には、
『「お金」で「友情」や「愛情」が買えるということです』とのこと。

なるほど。。

その他にも、
お金持ちが幸福でない理由
笑顔を見ると幸せな気分になる仕組み

といった仕組みも脳科学の見地から分析されていて面白いです。

『脳内麻薬』はこんな人におすすめ

「快感を感じる時、脳内で何が起こっているのか」知ってみたい人

著者は脳科学者。脳の仕組みを専門用語を交えながら詳しく解説してくれます。

麻薬の種類の詳しい解説やセックスがもたらす作用など、内容も刺激的。

「ドーパミン」についてより詳しく知ってみたい人

ドーパミンという言葉を聞いたことがある人は結構多いのではないかと思います。
さらに深く知ってみたいという人は読むと勉強になるはずです。

ドーパミンは「幸せ」を司る神経物質と言われています。
その意味で、幸せを感じながら生きていく秘訣はこのドーパミンの攻略にありそうです。

「幸せ」や「快感」を科学的に分析したり知識をつけたい人
ドーパミンと上手く付き合っていくにはどうしたらいいか知りたい人におすすめ。

どうすれば快感をコントロールできるのか、ヒントが欲しい

仕事を上手くいった時の快感も、セックスの快感も、実は快感を感じる仕組みは同じ。
逆に言うと、自分に合わせて快感を味わう対象の代替が可能とのこと。

そう考えると、快感を自分でコントロールできるようで面白いですね。

タバコやアルコール依存症になりかけている人

「依存症」の悲しい末路が語られています。
読んでいて、こうした依存性のある対象から離れるのに十分な怖さを感じました。

たとえば、
依存症という現象は脳内での神経間におけるドーパミンを授受するパーツそのものが変容して起こるというものなのだそうです。
神経細胞のパーツが変容してしまう。つまり、一度かかると完治することがほとんどないということ。。

摂食障害、セックス依存症、恋愛依存、ギャンブル依存症、ゲーム依存について興味がある

あくまで、これらの依存症を脱する解決法を示す本ではないです。
あくまで興味がある人におすすめ。

『脳内麻薬』こんな人は読まなくてもいい

何か具体的な悩みを解決したい人

この本は、どちらかというと知的好奇心を満たすための本です。
ドーパミンを最大化させるHow toみたいな内容ではありませんので、読んだ後で即役立つ情報が手に入ると言うわけではないです。

専門的な科学的知識が苦手な人

けっこう専門的な言葉や解説が多めです。
難しい本も知的好奇心で読んでいける人は良いですが、サクッと読みたい人には少し読みづらいかもしれません。

個人的な感想

僕がこの本を読もうと思ったきっかけは、

「人生楽しいと感じることが少ない」

そんな思いを解消するきっかけを得られるのではないかという期待からでした。

この本は脳科学の本の一種であって、今まで経験則として世の中に流布している説の裏付けを脳科学的に説明していくといった内容でした。
なので新しく得られる考えというより「へー、なるほど」という感想が多かったです。

しかし得られることもあって、それはどんな快感もそれが引き起こされる元をたどるとドーパミンに行きつくということ。

だから、たとえばモテなくても、ゲームで快感を得られれば幸福度が高まるし脳的にそこに優劣はない。
金銭的な幸福と人間関係の幸福は代替できるといったことも書かれていた。

今まで悩んでいたのが人間関係といった社会的な欲求が原因なのであれば、悶々と悩むのではなく、自分が幸せを感じられる別の手段(ゲームや食べ物など)で自分を満たしつつ、社会的な欲求を満たす努力をする。

そうやってバランスをとれば、人生満足しながら生きていけるんじゃないかな、と思った。
なんと言うか、考え方のヒントももらえた感じです。

おわりに

さて、この本のおさらいです。

  • 本の概要
    脳内物質ドーパミンが人に快感をもたらす張本人。
    このドーパミンがどういう仕組みで作用して、どういった結果をもたらすか。
    依存症との関係や、実は社会的な人間関係からも得られるという新情報が得られる。
  • 読むべき人
    「快感を感じる時、脳内で何が起こっているのか」知ってみたい人
    「ドーパミン」についてより詳しく知ってみたい人
    どうすれば快感をコントロールできるのか、ヒントが欲しい人
    タバコやアルコール依存症になりかけている人
    摂食障害、セックス依存症、恋愛依存、ギャンブル依存症、ゲーム依存について興味がある人
  • 読まなくてもいい人
    何か具体的な悩みを解決したい人
    専門的な科学的知識が苦手な人

今回は以上です。

それでは、みなさんの人生が前向きになることを祈って!
See you next time!

ABOUT US
ケイタム(ハジメ)
1990年2月生まれ みずがめ座 経歴:早稲田大学→音響系EC会社→Web広告代理店にて広告運用→Web系スタートアップ 趣味:音楽、読書、チャイ、競馬、アウトドア、ラーメン屋めぐり 好きなアーティスト:スピッツ/くるり/サザンオールスターズ/Fishmans/The Beatles/Jamiroquai/Copeland 好きな馬:キセキ